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奇をてらわずブレないから一気に読める――疾風ロンド(東野圭吾・著):感想と紹介

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※この記事は先日読んだ「疾風ロンド(東野圭吾・著)」の感想と紹介です。書籍の内容についての言及を含みます。ミステリー小説なのでもちろん結末などの決定的なネタバレはしませんが、読む前に少しでも内容を知るのがいやだという人はご注意ください。

 

 

とてもわかりやすい作品だと思います。

いや、展開や結末がすぐわかってしまうという意味ではなく、ごちゃごちゃしてわかりづらいところがなく非常に読みやすい。

 

簡単にいうと、某大学の研究所が隠し持っていた非常にやばい病原菌が盗まれ、盗んだ犯人は病原菌を雪の中に隠し、隠し場所を教える代わりに大金を要求した。

 

「あたたかくなると壊れる容器に入れたから、このまま放置したり誰かが見つけて取り出したりしちゃったら菌がばらまかれちゃうぞ〜」

 

その病原菌は所持していることすら公表できないやばい代物だったため警察に届けることもできない大学側は、しかたなく金を渡すことに……

いや、でもせめて値切ろう!限界まで値切ろう!

 

とかやっているうちになんと交通事故で脅迫犯が死亡

主任研究員である栗原は、隠し場所の目印として木に吊るされたテディベアの写真だけを頼りに雪に埋もれた病原菌を探すことに……

 

というお話です。

 物語は一貫してこの病原菌の隠し場所を探す話になります。

途中で別の事件が起きたりすることはありません。

 

長編ですが話がブレずごちゃごちゃしないので、ミステリー初心者や小説をあまり読まない人にもおすすめです。伏線もわかりやすくひとつずつ丁寧に回収されていくので、混乱せずにすっと読めます。

 

かといって展開や結末がすぐ読めてしまうわけではなく、ひとつの目的(病原菌の発見)に向かっていく中でさまざまなアクシデントやどんでん返しが起こります。

特にラストへ向けての勢いの加速がすごいですね(さすが疾風?)

 

うん、まあそんな気はしてた

   ↓からの

おっ、そうくるのか

   ↓からの

まあ、このへんが落としどころだよね

   ↓からの

まだあったのかい、おほっ

 

といった怒涛の畳み掛けは素直に感心してしまいました。

 

さらに、私は物語の中に無理やりねじ込まれる恋愛要素を見るとかなり萎えてしまうほうなのですが(そういうのは恋愛ものの中でやってくれ!必要あってのものならいいんですよ?)、本作は中学生の淡い恋心やスノーボードの選手と元選手の男女による絆などの要素はあるものの、匂わせる程度で本筋を邪魔することなく気になりませんでした。

 

 

ただね、いっこだけ言わせて、

さっきも書いた、病原菌の隠し場所に目印として吊るされたテディベアなんですけど、「テディベア」と聞いて私はてっきりよく小さい子が両手で抱えてるようなくまのぬいぐるみを想像してたんですよ。

 

一部の人にしか伝わらないのを承知で書くと、

アイリスちゃんのお友達のジャンポールみたいな。

 

ともかく、両手で抱えるくらいの大きさのものを想定したら、

物語中盤で登場人物たちがテディベアをスキーウェアのポケットに入れたり出したりしてるんですよ。

 

え、

4次元ポケットかよ

こわい

 

そしたらね、
これ別にミスリードを誘って驚かせたり叙述トリックだったりするわけじゃなくて、普通に私が勘違いしてただけっぽいんですけど、どうやら手のひらに乗るくらいの小さなキーホルダーやストラップくらいのくまのマスコットだったみたいです。

 

えーっ!たしかに「小さなテディベア」とは書いてあったけれども、そんなに小さかったとは!

 

というわけでこれから読む皆さん、テディベアはジャンポールじゃないみたいなので気をつけてください。

 

疾風ロンド (実業之日本社文庫)

疾風ロンド (実業之日本社文庫)