ジビエ料理、じわじわ流行ってますね。
ジビエは野生鳥獣の肉のことです。
ヘルシーで栄養豊富だとか、鳥獣被害をもたらすとして狩猟・捕獲されたシカやイノシシの有効活用だとかで日本でもブームになりつつあります。
しかし、野生の獣の肉ですから当然ウィルスや寄生虫を保有している可能性があります。生または加熱不十分な野生のシカ肉やイノシシ肉には、E型肝炎ウイルス、腸管出血性大腸菌、寄生虫などに感染してしまうリスクがあるのです。
このリスクを避けるためには、まずなんといってもしっかり加熱をしてから食べることです。厚生労働省のガイドラインでは「中心部の温度が摂氏75度で1分間以上又はこれと同等以上の効力を有する方法により、十分加熱して喫食すること。」としています。
中心部の温度が75度、です。外側じゃないです。焼き加減はレアで〜とか言語道断です。
自分が感染するだけならまだしも、感染者が献血をしてその血液が輸血に使用された場合、輸血を受けた人へも感染を広げてしまいます。
生の鹿肉を食べた人の献血からE型肝炎感染で死亡した事例
2017年7月に生の鹿肉を食べた人の血液の輸血を受けた80代の患者さんが、11月に劇症肝炎で死亡していたことが2018年に入って明らかになりました。この患者さんの血液と輸血に使用された製剤からは同じ遺伝子のE型肝炎ウイルス(HEV)が検出されています。
E型肝炎は多くの場合軽症ですみ感染に気づかない人もいるくらいですが、高齢者や妊婦では劇症肝炎を発症し死亡する率が高いという研究結果があります。なので、高齢者や妊婦さんは特に生のジビエ肉には気をつけなくてはいけないのですが、輸血からでは気をつけようがないですよね。
日本赤十字社「生または生焼けの豚、猪、鹿を食べた人は6ヶ月献血を遠慮して」
これを受け、日本赤十字社では当面の措置として「HEVに感染するリスクのあるブタ、イノシシ、シカの肉や内臓を生又は生焼けで食した方については、採取した時点から6カ月間は献血をご遠慮いただく」としています。
また、現在北海道で採血された血液にのみ試行的に実施しているHEV検査を、全国で実施する方向で検討を進めている、としています。
感染事例が少しでも減るといいですね。
珍味として生の鹿肉や猪肉を提供する飲食店もあるそうです。珍味と聞くとためしに味見してみたくなる気持ちもわからなくはないですが、E型肝炎ウイルス、腸管出血性大腸菌、寄生虫などのリスクがあることをくれぐれもお忘れなく。